
真保裕一特別インタビュ―(第4回) 「心の蓋」が開くのはいつなのか ――連載も25回を越えましたが、日本に向かう船があるという噂が流れて、チャウ やティエップたちが浮き足立っているところです。その「日本に向かう船」がある という話は信用できるのか? チャウやティエップたちは、これからいったいどう なるのか? 実は、私も気になって仕方がない。いったい、どうなるんですか? 真保 ・・・・・・わざとらしいなあ(苦笑)。もう10話以上も先に原稿を渡し てあるじゃない。 ――ん? いやー、まあそうなんですけど。そういってしまったら、元も子もない じゃないですか。ここはひとつ、読者の方へのサービスだと思って、盛り上げてく ださい。 真保 しかし、あざとい編集者だねえ。 ――へへへへ。 真保 読者サービスって言うけど、このインタビューだって、本当は、2月の中旬 にインターネットで流すはずだったんでしょ? いったい、いま何月だと思ってる の? ――し、4月です・・・・・・。 真保 いったん予告したものはきちんと実行してください。僕が遅れたからだとお もわれるじゃないですか。 ――いやー、まったくおっしゃるとおりです。どうも、すみませんでした。ところ で、怪我の功名というか、転んでもただでは起きないというか、これを機に、この ページも新しくテコ入れしようという案が浮上しているんですよ。 真保 僕もようやくインターネットを始めました。ちょっと遅すぎるけど・・・・ ・・。 ――それはいいことですねえ。
――なるほど。担当者が怠け者であるということが、逆に作者のやる気を引き出し たという・・・・・・こうなると「怪我の功名」というよりも「瓢箪からコマ」と いう感じですね。 真保 なにを喜んでいるのか・・・・・・。 ――それでは、読者の皆さんへお願いです。このページでどんな記事を掲載しても らいたいか。真保裕一さんへの要望、または、「黄金の島」への感想、そして、こ んなことが知りたいという質問など、なんでも結構です。この「黄金の島」のトッ プページの『真保さんへのメールは・・・・・・』のところをクリックして、メー ルを送ってください。 真保 これから担当者とも打ち合わせして、このページを充実させていきますので 、小説ともども、どうぞ、よろしくお願いします。 ――さあて。インターネットの話はこれくらいにして、小説の話をしましょう。前 回は、チャウたちベトナム人の登場人物の話をしました。今回は、日本人のふたり の主人公、坂口修司と、奈津について。あっ、真保さん、ところで奈津って名字は なんていうんでしたっけ。 真保 実は、まだ出ていないんですよね。実は奈津は、持田奈津というのです。 ――あー、そうだったんですか。持田さんでしたか。ところで、修司ですが、彼は 非常に、いい意味におけるナイーブな内面の持ち主ですが、さすがに暴力団組員だ けあって、ワイルドな一面がを持ってますね。マジに怒らせると怖いというか、い ざとなると、かなり怖い人なんじゃないかという気がします。 真保 そうですね。設定がヤクザだということは、常に意識して書いています。中 途半端なところがあって、ヤクザになりきれない部分はあるけれど、そうはいって も、その世界では、会長に目をかけられたり、幹部の砂田も身を脅かされる危機感 を抱く存在だったわけですから・・・・・・。 ――それなりのヤクザではあったはずだ、と。
――ただ、修司の魅力というのは、やっぱり、優しさ、純粋さ、奈津への一途な思 いだったりするわけですね。 真保 修司も31歳なんですけれどもねえ。どこか、腹が据わっていないというか 、大人になり切れてないところがある人物です。ある種のあやうさ、脆さをもった 人物ですね。 ――真保さんは、やはりそういう人物に魅力を感じるわけですか? 自分と共通点 があるから共感をもっているんだったりするわけですか? 真保 うーん、それはあるかな。たしかにいまは小説を書いて暮らしているわけで すが、いったい自分は何者なんだ? 自分がやっていることは、これは仕事なんだ ろうか、趣味なんだろうか、よくわからない。そういったことは、常々、感じてい ます。 ――それは真保さんが、サラリーマンという職業を経験したことがないからでしょ うか。 真保 サラリーマンの経験があるかどうかは、関係あるのかな? アニメのやとわ れディレクターもサラリーマンのような面もあったし。それに僕は、サラリーマン も、決して安定した職業だと思わない。曖昧さ、意外な脆さを秘めた職業だと思っ ているんですよ。 ――特にいまの時代はそうですね。ある日、突然、リストラにあって会社を去らな ければならなくなることもある。先日は、社長室で腹を切ったサラリーマンもいま したね。 真保 サラリーマンの人は、たとえば、自分では上司を選べないし、40代で役職 に就く頃になると、意識しようが無意識だろうが、どこかの派閥に組み入れられる こともあるでしょう。そうした状況に置かれたときに、自分は、なんとなくどごの 派閥にも入りたくないと考えてしまう人もいる。派閥に入ったり出世したりすると 、自分の人生が決まってしまうような気がして、逃避しようとしているのかもしれ ない。 |