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――そう聞くと、修司の性格や行動はサラリーマンとも共通点がある、と。
――もう少し突っ込みたいところですが、修司の行動・性格というのは、小説のメ インテーマに関わることですし、これ以上話すと、小説のネタばれになる。また、 あらためて話をしましょう。 真保 そうですね。なんか、話を途中でやめて、またあらためてというパターンが このインターネット・インタビューには多すぎる気もしますが。 ――いやいや、それについても、またあらためて。それでは持田さんに話を移しま しょう。持田奈津・・・・・・私のイメージとしては、結構、そそる系の女の人な のかなという想像もしてますが、それはさておき。奈津は修司を日本から追放した 張本人である砂田の、愛人でありますが、その一方で自分に思いをよせる修司に気 持ちが揺れ動いているという、これまた微妙な役回りで・・・・・・。 真保 自分の気持ちや行動に答えをまだ出していないという意味では、奈津も修司 も同じですね。自分が修司をなぜ助けようとしているのかというと、 それはやっぱ り修司を好きになっているからです。でも、好きだからと、単純に行動できないの が、奈津ですね。 ――修司にしても奈津にしても、自分のこみ上げる感情を前に、どうしていいのか わからなくなっている感じがするんです。 真保 これから修司は、チャウやティエップ、そしてカイたちと、抜き差しならな い関係になっていくのですが、修司は、なぜ自分がこんなことまでと思いながら、 彼らのために、そして自分のために・・・・・・おっと、これ以上は、言えない。 ――いやはや、またですか。ちょっと教えてくださいよお。修司がベトナムの若者 たちのために骨を折っているくのも、損得を考えれば決して自分の得になることじ ゃない。そうした修司を突き動かしていくものはなんなんでしょう? 真保 さあ、なんでしょうねえ。簡単にいってしまえば、良心ということになるし 、自分の心の中に潜んでいる後悔ということもできるでしょう。 ――後悔? ほう、後悔ねえ。 真保 そうした気持ちはだれのなかにもあるはずですが、心の奥に隠して生きてい る。心に蓋をして生きている。 ――たとえば、銀行員なら相手がどんなに困った状況にいることがわかっていても 、融資の基準を満たしていないと「あなたにはこれ以上お貸しできません」と追い 返したりしている、ということですか? 真保 わかりやすい喩えをありがとう(笑)。でも、そういうことがあっても、毎 日毎日、心に蓋をしていて、少しずつ後悔しているのを隠している。それが、なに かの拍子に心の蓋が開いてしまう瞬間もあるんです。 ――修司はベトナムで、その、心の蓋が開いてしまうわけですか。 真保 そう、そして、奈津もグラグラしている。ただ、奈津が修司とちがうのは、 目の前に何か事件が起きると、それにストレートに反応するのではなく、自分自身 に対して芝居をしたり言い訳を作ってしまう。 ――奈津は女性だから、そうやって自分から目を逸らすのですか? 真保 いや、男性と女性というのではなく、僕は、奈津が本当に真面目な人だから だと思います。自分に対して一生懸命に言い聞かせないと、自分を保てないんじゃ ないでしょうか。 ――なるほど。たとえば、先の銀行員の場合でも融資を断るとき社内規定などいろ いろいいわけを出しますよね。あるいは、本当はこんな仕事したくないんだけど上 司の命令だから仕方ないとかいって、自分を一生懸命なだめていますね。
――そこがこの作品の大きな魅力ですね。 真保 物語が進むにつれて修司と奈津の性格もより鮮明になってきます。書いてい る私も、修司や奈津と一緒に「なにか」の答えを見つけだせればいいと考えていま す。
●週刊現代編集部より・・・・・対談のなかでも出ていたように、このインターネ
ット「黄金の島」をより充実させるための、ご意見をお待ちしています。たとえば
「こんな企画を読みたい」「真保裕一さんにこんな文章をインターネットのために
書いてもらいたい」「○○○さんと真保さんのインターネットでの対談を読みたい
」など。そのほか小説『黄金の島』の感想・ご意見・ご質問はもちろん大歓迎です
。
(ベトナム取材に関する詳しい話は、この『インタ―ネット・黄金の島』に掲載した、真保さん自身が書いたベトナム取材記をご覧ください) |